Chairmans EYE -第三節展望-
CHAIRMANS EYEとは
30リーグチェアマンの上田ダイゴが
各団体の紹介や試合の見どころを
独断と偏見と妄想で紹介するコーナーです
今回は第三節
『わくらば×D地区』を
独自の目線で徹底解説します!!
前代未聞の演劇リーグ戦『30リーグ2024』もいよいよ前半戦の山場となる第三節。この試合が初戦となる『わくらば』と、リーグ最終戦となる『D地区』という顔合わせとなったのだが、この戦いの結果如何では早くも火リーグの優勝団体が決定してしまう大一番となった。
CHAIRMANS PREDICT
まずはこの闘いが初戦となる先攻の『わくらば』。年齢的にはまだ若手という形容でも差し支えないであろう西村こころの一人ユニットで、30リーグ初戦どころかこの試合が旗揚げ公演という、実にフレッシュなユニットである。
このユニットの最大の特徴は、主宰の西村は役者のみに専念し、その時やってみたい事に合わせてその都度に作演や共演者を迎えるというスタイルを採用している点である。つまり一見すると若さ溢れるフレッシュな印象のユニットなのだが、その時に迎えるメンバー次第ではその印象は如何様にも変化してしまうのだ。
そういう意味でわくらばがこの初戦にどのようなオーダーを組んでくるのかで、30リーグの勢力図は大きく変わるであろうと予想していたのだが、案の定発表されたオーダーはわくらばをダークホースから本命の一角に一気に押し上げる驚愕の布陣であった。
作演に第一回30リーグ優勝団体である『謎の女────《まなみ》。』作演のマナカ、そしてキャストには松木賢三、藤井愛希子、谷桜という、フレッシュと呼ぶにはあまりに豪華過ぎるメンバーを揃えて来たのだ。
圧倒的な実力を有する役者陣と、30リーグ初戦という唯一の不安材料を『第一回優勝』というこれ以上ない経験値で補填する作演。この名実ともに隙のない戦力が噛み合えば先攻のディスアドバンテージなどものともしない作品を生み出す事は必至であろう。
初戦から強烈なハイカードを切って来たわくらばであるが、対する後攻のD地区も負けてはいない。
ここでD地区の状況を整理しておくと、初戦となったvsカムパネルラ戦を不利とされる先攻で勝利。なのでこの試合に勝てばリーグ優勝が確定するが、もし負けたとしても一勝一敗で三団体が並んで得票数勝負になる可能性が残されており、勝敗も大切だがリスクヘッジとして一票でも多く得票しておく事も求められる状況だ。
そんな大一番にD地区もとっておきのカードを切ってきた。それが今回の演目『おかえり未来の子』である。
この作品は『かながわ短編演劇アワード 2023』にて戯曲コンペティション大賞を受賞しており、昨年の30リーグ2023にて上演され、その圧倒的なリアリティが各方面から絶賛された、まさしくD地区の代表作と呼ぶに相応しい作品だ。
昨年度は諸事情によりエキシビジョンとしての上演となってしまったので(注:D地区に一切の落ち度は無い理由)今回ようやく30リーグ公式戦という雌雄を決するリング上でのお披露目と相なった。
なので昨年のエキシビションをご覧頂いた方にとっては再演となるのだが、もちろんまったく同じ形で上演する訳ではない。昨年は出演者全員が劇団員であったが、今回の再演に際してキャストを大幅に変更。客演を多数投入する事によって、作品に新たな息吹を吹き込み更なるブラッシュアップを図っている模様だ。
両団体の切り札がぶつかり合うビッグゲームとなった第三節。わくらばが勝利して一気に優勝前線の先頭に躍り出るのか?それともD地区が代表作で第五節を待たずに火リーグ優勝を決めてしまうのか?今シーズン屈指の好カードをお見逃しなく。
上田ダイゴ(30リーグチェアマン)
※敬称略