RIVALS EYE【第三節:にほひ】

2024年06月16日

RIVALS EYEとは

ライバル達が熱いホンネをぶつけ合う

30リーグ2024参加団体による公式戦の観戦レポートです

今回は第三節『わくらば×D地区』を

にほひがレポート

はたしてライバルはこの試合をどう観たのか?

「此処からさきのはなしをしよう」

うますぎる!設計図としての台本、そしてその組み立て(役者・演出)が、うますぎるー!と思いました。

まず、開幕、シンプルだけれど生活感を感じる舞台セット。役者たちがときに座り位置を変えながらくつろぐこたつは勿論、お客さんからの電話を取っている時に軽く座る後ろの大きな机。この家の普段の暮らし方が見えるのが、家族の物語として味わい深くなるなあと…。こたつ、机、と三角位置に配置されている大きな鞄、あおいが家を出る為に用意している鞄ですが、物語の終盤に劇が加速して盛り上がる装置の小道具、マイクが鞄から出てくる。無駄がなさすぎる。あお姉ちゃん、鞄にマイク入れてた…泣けるし…。光陽父さんが歌がめちゃくちゃ上手い、というある意味お約束もちゃんと面白く、すみれ、ゆりが照明音響を準備するような動作も可愛く、そして何より、こたつが!魔法の絨毯!いやうますぎる!配置が!なるほど、こたつは可愛いですが、それだけではなく、自由な世界の景色をみに連れて行ってくれる絨毯に…。こたつが魔法の絨毯になるなんて、もう、ドラマ無限だ…。でも部品だ…。父娘でのデュエットがこの曲?と思いましたが、父の昔の異名エピソードがあることで納得しました。

また、みなさんのコメディのバランス感覚がすごくて、ここが崩れてしまうと、うっとうしくなってしまうと思うのですが、くすくすしながら、感傷的にもなる、絶妙なバランスでした。この家族が可愛くて、大好きになりました。


「おかえり未来の子」

面白い!ずっと安心できない嫌な空気がまとわりついていて、こわい!こういう、いやな気持ちを味わうのも観劇の醍醐味だなと思いました。

かなり暗めの明かりから始まり、舞台はじに置かれたパイプ椅子(とそこに座る役者)、まんなかに(パイプ椅子とは馴染まない、)重たそうな茶色い机。このすっきりいかない配置、おさまりの良くなさ、が、物語のじっとりした気持ち悪さと合っていて、面白い。 また、登場人物の造形もすごく好きでした。みんな、あんまり、善人とは言い難い。でもそれはこの場所だからかもしれない。善人ぽくなく見えてしまうという、感触がザラザラして不快で最高でした…。

人々の、明言はされていないけれどチラチラ見える背景がすごくて、勝利と足立が良くないっぽいもののやり取りをしていたり、妙子が親に内緒で喫煙していたり、加藤の「間違えた」という口癖…。

なんだか嫌な空気だな、から、うわー!始まってしまった!となる手拍子の演出。それまで、なぜパイプ椅子なのだろう?なぜ役者はハケるのではなく、パイプ椅子でシーンの入退場をするのだろう?と引っ掛かっていましたが(でもこの物語は引っ掛かっていても大丈夫というか、おさまりが良くなくてもよいので、集中が乱されない)、そこで、役者も装置の一部だ、というか、うまく言葉にできませんが、納得しました。妙子が朝田に添削されながら発表をする演出、こわすぎて最悪すぎて最高だ…。

ラストシーンは、妙子に声をかけたのは朝田なのか、マチアプで会ってたっぽい足立なのか、わかりませんでしたが、やはり喉の奥がザラザラする終わりでした。

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娘の家からの旅立ち、だけれど、まったく違う二本のお芝居。すごく面白かったです。 とてもとても悩みましたが、嫌な劇の方が好みだったので、D地区さんにいれました。観た日の気分にもよるなと思いました。どちらの作品も本当に、ウマ!面白い!と思いました。

古後七海(にほひ)

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