RIVALS EYE【第六節:わくらば】
2024年09月01日
RIVALS EYEとは
ライバル達が熱いホンネをぶつけ合う
30リーグ2024参加団体による公式戦の観戦レポートです
今回は第六節『21世紀のキリン×にほひ』を
わくらばがレポート
はたしてライバルはこの試合をどう観たのか?
21世紀のキリン さん
セットも何も無く2人の身体だけで進んでいくお芝居。
お二人のマイムがとても素敵で、どうなっているのかという現状が目に浮かんできてすぐに物語へ吸い込まれました。
こんな簡単な言葉で済ませていいのかどうか悩んだのですが、素直に白状しますととてもきゅんきゅんしました。
気の強そうな印象を抱いたお初さんが思いの丈を語り出す瞬間のあの儚げなお顔と、ずっと気丈に振舞っている徳兵衛さんのあの仕草一つ一つに心を撃ち抜かれていました。
今であればもう少し楽に考えられたのでしょうが、江戸の世相であればあの二人の身分の違いでの恋は重いものでその報われなさに切なさを覚えました。落語というものに対しあまり興味を持たず生きてきたのですが、これを機に触れてみたくなりました。
今度原作を読んでみようと思います。
にほひ さん
実家に足を踏み入れた時の緊張感がこちらにも伝わってきて少し体を強ばらせながらこの物語を追っていました。
みんな何かしら気を使っていて、張り詰めた空気の中ゆっくりも進んでいく時間。
実際に自分はそこにいないのにあの空気感に、自分もその場にいるかのように感じ早く帰りたくなりました。
その空気感を開始数分で醸し出せる役者さんの技術と脚本の構成に素直に感動していました。そしてあの繭の表現が素敵でした。
包まれた際はどうなるのか不思議に思いましたが、オレンジ色の温かい明かりが点った瞬間に何も言わずとも胎内に見え素敵な表現だと感嘆しました。
過去は変えられないけれど、これからあの家族が良い方向で進んでいけるといいなとふと思い返す心に残る作品でした。
西村こころ(わくらば)